旅の2日めは秋田に着いた。18時30分ころだ。あとで書くことになると思うけどわけあってホテル泊を望んだよ。秋田駅周辺で見える範囲の5軒ほどのホテルを訪ねたけど、なんせ10連休だもんね、全部がアウト。やっとこさ探し当てた木賃宿で部屋にあり着いた。女将との会話では、東京からバイクで来たこと、40数年の念願がやっと実現したこと、なんぞを話した後に旅の目的についてもご披露した。
ところが、だ！ 女将が言うには「『新政』はずいぶん変わりましたよ。今はワインみたいなお酒になって、地元の人はあんまり好んではいないみたいです。お勧めするなら人気の“刈穂”でしょうかね。地酒ですよ」
ナンと言うことか！ ついこの前、ＮＨＫで「新政」の杜氏・高橋藤一さんを徹底取材した番組を観たばっかりで、半年間は酒蔵に寝泊まりして完璧な酒造りの様子だった。しめしめ‥‥なんてほくそ笑んだんは当然のことだった。なのに女将の話しはあんまりにも違った内容だよ。
「一番風呂ですよ」って女将に促されて風呂に入り、ちょいと軽めの服装になって街に出た。そしてこんなことに出会うこともあるんだね♪ 「うみひこ」って名の店だよ。
どう？ びっくりでしょ？
迷わずに、ここで地酒のお試しをしよう
まずはビールだったけども、新鮮なホヤとサヨリの刺身
ビールの後に女将お勧めの「刈穂」だ
ん‥‥口当たりが強い酒だな、秋田人はこのくらいを好いてんだな
次は「飛良泉」純米吟醸酒
「刈穂」にも負けないシッカリ感があって
秋田のお人は重さと強さのある酒が好みなんだな、なんて自己判断
皿の品名は忘れちまったけど
酒は新潟・魚沼の「八海山」だ
「刈穂」「飛良泉」とつづけた後だからか、ちと甘さが気になる
これはこれで銘酒なんだけど
秋田の強さには押されちまったな
店のメニューを見ても「新政」は無かった。他の店で晩めしを食って宿に戻り、布団にもぐってイロイロあれこれ考えた。もう1年前かもっとかも、だけど、ネット検索で秋田の酒蔵3社が、若て社長のプロジェクトで新しい酒造りを始めた、ってな記事があった。そこに「新政」酒造の社長も居たはずだ。新規のモノに挑戦するってのに好意を持つ我っち、なんとなく「新政」の新時代を感じ取れて、その時はイイ傾向だな、なんて思ったこと、いまになって思い出していた。
地酒が売りの、あのうみひこでさえメニューから外してる「新政」。我っちの夢は急ぎ足でしぼんでいくばっかりだった。