今夜は満月のようだった。暦を開いてみたら、あしたが望、望月(もちづき)だ。つまり満月。
満月を愛でるってのは昔から言い伝えられた風習だけども、ほんとは、月の左端がまだ満たされてない十三夜が、風流人の好みなんだってね。
我っちだって、風流人じゃぁないけども月を眺めるんだよ。双眼鏡で! 月なら天体望遠鏡なんざ要らないね。
でもね、満月はいただけない。全面が光ってて陰影が無いから。やっぱり明るく見えるとこと暗いとこがあって、その境目辺りが見どころなんだ。上弦の月、下弦の月っていうけど、右半分に光があたってんのが上弦で、左半分が下弦。
吉田拓郎は『♪上弦の月だったっけ久しぶりぃだね月見るなんて~』なんて唄ったね。上弦の月は宵の口から見えるけど、下弦の月は時間的にナカナカ気づくもんじゃない。
どっちにしたって、影の方から光ってるほうを眺める逆光の効果が、月の表面を感じさせる見かたじゃないかな。
だから、ちょうど半分の上弦の月よりも、もちっと前の、光ってる部分が右から現われてくる様子がいいわけさ。清少納言なら「あはれ」なんて言うんだろかね?
大川の水面を眺めるのが多い我っちだけど、たまにゃ口あんぐりで月を見上げることだってあるんだよ。べったら市も近いなぁ~なんてな、下町暮らしの海比古であります。