「私はチェだ」。
これはチェ・ゲバラが絶命する直前の言葉だったと、書いてあった。
もう今では記憶もハッキリしないけど「ゲバラ日記」を読んだのは25歳前後だったような気がする。1冊の本じゃなくて、朝日新聞系のなにか論評のような、連載記事のようなモノだった。
チェ・ゲバラ。多くの日本人も耳にしたであろう、革命家の名前だ。アメリカの属国みたいな権力集中・資本優先の政治下にあったキューバを、フィデル・カストロと共にゲリラ戦を展開して革命を成功させた。
革命で新体制になったキューバで、カストロ首相のもと、ゲバラは革命政府の要職に就いたが、「自分は革命家だ。自分を呼んでる場所がある」といって、コンゴとボリビアでゲリラ戦の指導を行なった。ボリビアで、政府軍との戦闘で重傷を負い、死ぬ間際に言った言葉が「私はチェだ」であったと書いてあった。
「ゲバラ日記」を読み始めのときの我っちは、ゲバラの存在や懸命な活動ぶりに心酔したもんだが、革命の輸出みたいな、他国にまで出かけて革命を先導する姿勢には、嫌気がさしたもんだった。なんでキューバを大事に育てようと思わなかったんだろう、って。
それから数年、日本の青年たちの一部でゲバラ信奉が拡がり、肖像をプリントしたTシャツなんぞが流行ったりしたけど、そのころには我っちの心はゲバラから完全に離れてたな。
「ゲバラ日記」を読んだ後だっただろうか、津川雅彦さんがキューバに渡って、モノローグ的な映画をつくった。制作陣がどんな人たちだったか記録も憶えもない。タイトルも思い出せない。もしかすると「キューバ・シ アメリカ・ノン」だったかも知んない。
キューバとアメリカが国交再開、とのニュースで思い出した昔ばなしでした。