24日の朝は衝撃だったな。ご存じのように、イギリスがEUからの離脱をするかしないかについて、キャメロン首相が約束してた国民投票の結果が出たんだ。
イギリスは離脱することを選んだ。その差わずかに3%だ。国論が完全に二分されたと言ってもいい。まだ参加国が12カ国でしかなかったEC(欧州共同体)と言ってたころ、その在日本代表部の仕事をいくつかやらされたけど、希望に満ちたあのころにくらべて、こんな流れになろうとは夢にも思わないことだった。
このことから我っちは2つの国民投票を連想するんだよ。
ひとつ:グレイトブリテンを構成する一国であるスコットランドが、その構成要員からの脱退を望み、独立国になりたいとした国民投票だった。キャメロン首相はこのときも国民投票に懸けることを容認したけど、自治権の一部を規制するなどの歯止めをかけていた。投票の結果は10%の差でスコットランド独立は拒否されたんだ。スコットランドは、天然資源やEUをはじめ世界との交易で豊かな国なんだけど、ロンドンをはじめとするイングランドの政治手法に「搾取」されてる想いがあった。スコットランドの立場で言えば、北部油田の運営や利益はロンドン&イングランドに握られ、その代わりに(?)イギリス海軍の潜水艦基地を押し付けられてる。
こんどのEU離脱への国民投票では、他の国民票に反してスコットランドではEUへの残留が過半数を占めた。我っちの思いでは、大好きなスコッチウイスキーの輸出が、EU向けだと関税がかからず酒業の安定がある現在にくらべて、EU離脱となれば、身近な市場なのに関税で苦しむことになる。離脱が決まった今、スコットランド独立の機運が再燃するかも知んないね。
ふたつ:ひるがえって日本の憲法改正への国民投票に思い至るんだ。ここでは憲法改正を「前文」と「9条」だけに絞って語ってみたい。イギリスの今回の国民投票は、首相の権限で実施を決めた。そうした法整備になってるらしい。でも日本の憲法改正についての国民投票は、憲法に明記された必然の存在なんだ。だから、いまの安倍ちゃんの執権中になるかどうかは判んないけど、改憲が発議され国会で承認されると、国民投票に託される。現状、国民の意思表示は半々じゃないかと我っちは思ってる。ちょうど今回のイギリスのことのように。これってとってもアブナイ流れだよね。なぜって、圧倒的に片方が勝つってのは政府の誘導があるからで、ホントの民意は出にくくなるもんだ。でも民主主義のたてまえでは正しい流れでもあるんだ。分断した国論を修復させるんは、時間と労力をトッテモ消費することは間違いないけど、そこをやり遂げられるかどうかは、その国の民度の高さに比例するように想えるね。
だから! 憲法改正についちゃ、具体的な条文案を2~3年間は国民に公開して熟慮してもらい、その間に最低でも1回の総選挙を行うべきだ。各政党の憲法への考えが比較され検討され、理解されてからの総選挙が必要と思う。だって、最初に改憲発議をするのはそのときの与党であって、国会審議はそれ以外の改憲案を審議する余裕はないはずだからね。
国をふたつに引きちぎりかねない国民投票。イギリスの今回の例をよくよく踏まえ理解しておくことが、やがて来るかもしんない憲法改正についての国民投票への、備えのように想うんだ。