秋田に着いたんは二日め、5月29日の18時半だった。秋田駅近くのホテルを回って空きを打診したけど全滅。探し当てた木賃宿に素泊まりで床を得た。翌朝は早く出るから、と言って、晩めしのために外出する際、前金で宿代を払う。4500円也。木賃宿ならではの気安さだな。
翌朝、支度を整えて駅の交番に出向き新政酒造への道順を教えてもらった。さあ、駅前を6時にスタートだ。新政酒造はすぐに見つかった。白壁に黒い瓦の酒蔵らしい趣だけど、新しい入り口を教える貼り紙がある。歩いて角を曲がってみたら、おお、立派な階段付きの新しい事務所が2階にありそうだぞ。板の木目を活かしたモダンな造りで、ちょいとしたコテージふうじゃないか。だけども時刻はまだ朝の6時半に少し前。
旅の計画中に東京から酒蔵の見学をしたい旨、電話で申し入れたんだけども、蔵の見学はできないと断られていた。それでも蔵の所在くらいは確かめたかった。ゆうべの宿の女将の話し、地酒料理屋でのメニュー内容なんぞで、夢破れてた我っち「新政」はこれくらいの関りでもって終わりにするか‥‥寂しい思いを吹っ切った。
国道7号線を北上して八郎潟に向かう。八郎潟の北端にほぼ近い三種町というところに「じゅんさいの館」てのがあって、これも事前に調べておいたんで立ち寄った。じゅんさいとはスイレン系の水草の若芽で、ジュンサイ沼に箱のような小舟を出しておばちゃんが一つひとつ手摘みするんだそうな。湯がいて酢味で食すらしいが、コリコリとした歯触りが人気らしい。我っちはまだ食したことないけど珍味ということで、カミさんの里にクール便で送った。
そして八郎潟。これまで我っちが抱いてた風景のイメージは、干拓によってできた広々とした田んぼが、周囲のどっからでも見渡せる、大大オープンのパノラマであろうということだった。そういう眺望ポイントがどっかにあるのかもしれないけど、希望は不発に終わった。だから八郎潟の撮影は無し。事前にもちっと調べておけばな。
日本海側の縁は砂の土手
風力発電の風車が、数はあっても
もの寂しげ
男鹿半島の根っこをショートカットして
7号線に戻るつもりだったけど
分岐点を見逃したか
ここは男鹿半島の入道崎
さすが10連休
人出がいっぱい
(お土産店のほうにネ)
やっぱり新政酒造の事務所だけでも訪ねてみよう、なんて考えを改めて、国道7号線を南下する。
新政では事務所のカウンター越しに女性の事務員さんが対応してくれた。5分ほどは話を交わしただろうか、おみやげに会社案内パンフレットを頂いてお別れした。
若い時に感激して
その後は久しくお目にかからなかった新政
今、静かに「成長したんだ」
と思うことにしよう