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Channel: 海比古の酔いがたり
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藤沢周平 &宮部みゆき

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立てつづけに、ふたりの文庫本を読んだ。恥ずかしながら藤沢周平の本は初めてだ。
NHKドラマ「蝉しぐれ」には痛く感銘を受けて、また、映画「たそがれ清兵衛」にも没頭しちまったくらい、藤沢さんの世界が強く心に響いたもんだ。
だから本も読んでみようかと思いはしたけど、あのドラマや映画を観た後じゃきっと、我っちの想いが強すぎてダメなんじゃないかと思ったりしていた。
じつは先月末、図書館を覗いたら文庫本特集期間とやらで多くの作家の文庫本ばっかりを並べたコーナーがあった。そこで迷ったのが、大好きな宮部みゆき読むか、はたまた、文庫本っていうこんな機会だから、藤沢周平を初体験するには恰好のチャンスだろうと思ったりしたわけ。

結局のとこ、今回の文庫本『用心棒日月抄』で初見参ってことにした。
用心棒稼業の浪人の話で、6編だったか7編だったか忘れたけども短編集で、その稼業話の背景には、吉良上野介邸への討ち入り準備を進める浅野家の浪士たちの動きが、敷きこまれてる。
なるほど、剣の強い浪人が用心棒をする話そのものは陳腐だけど、赤穂浪士の討ち入りを背景に据えるってのは、その辺りが藤沢周平の面白さなのかな、なんて感じた次第だ。

その文庫本を戻しに行った帰りには、もう、迷うことなく宮部みゆき借り出した。
ぼんくら』ってやつの上巻。そう、短編集ではあるけど、第6話の「長い影」って話はパート1からパート6まで載ってて、最後のページに
             (下巻につづく)
なんだって! アハハハ、文庫本のつづき物って初めてだなあ。早速あした、下巻を借り出さなくっちゃ、と思うところです。

宮部みゆき文体は好きだな。人物像や暮らしぶりなんぞがよく想像できるように書いてる。藤沢周平だって、人物の描写はしてるけど登場するところで顔つき体つき言葉づかいなどを書き並べるけど、その人物像はあんまりイメージできない。一方の宮部さんは、ひとりの人物像でも小出しにして、周りとのやり取りのなかで人物像が浮かんでくるように書いてる。暮らしぶりも含めて生活者としてイメージができるんだよな。
宮部みゆき本はこれまで、いくつか読んできた。“回向院の茂七親分” が出てくる話が好きだけど、大げさでないミステリーが仕込んであるんだ。現代ものも読んだ。けど時代物がおもしろいね。
今回読んでる『ぼんくら』は八丁堀の同心・井筒平四郎てのが主人公だけど、ナンとそこに回向院の茂七の名も出てくるんだよな。これは読んでて宮部ワールドに埋没しちまうよ。

さ、あしたから下巻を読もうっと。

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